バレンタインデーというものには、そんなにいい思い出はなくて
もらえるかどうかわからないチョコのために一日中ドキドキしなきゃいけなくて
結局、誰からももらえなくてガッカリするのもイヤだし
もらえたらもらえたでお返ししないといけないし
ちきしょうバレンタインデーさえなけりゃ今日は平和な一日だったはずなのに
なんでこんなに疲れなきゃいけないんだと思うこともある。
というかいわゆるイベントとゆうものは総じてそういうことばっかりで
始終穏やかな気持ちでいたいと願っていても、無理矢理に気持ちを上げ下げされちゃうんで
もちろんそれが楽しいとゆう人もいるし、そういう時もあるんだけど
そうじゃない場合もあるってことをもっとみんなにわかっておいてほしい。
でも人間とゆう生き物はほんとにいい加減なクリーチャーであって、
じゃあ仮に、オレの理想とする平平凡凡、始終穏やかな日々が続いていったとすると
それはそれで退屈してきちゃうし、ヒマになるとしょうもないことを画策しはじめる。
あと、あんまりヒマになりすぎると、気持ちがどんどんモヤモヤしていくし
急につまんない悪さをしたくなる。
そして世の中とゆうのもこれまたほんとによくできていて
そういう空虚な心の中にずぶりと太い腕をつっこんでくるような
色んな誘惑とか快楽とか恐怖とか不安とかがウヨウヨしてる。
でもっていっぺんそのたくましい腕に抱かれちゃうと、他に何にも考えなくて
よくなってきちゃって、だけど胸の奥のポッカリした穴的なものは
どんどん大きく広がっていく一方で、こりゃいかんかもしれんと
何か理性のかけらのようなものが一瞬目の前を走りぬけていくんだけど
すぐにまたどーでもよくなっちゃう。
そんな時に、バレンタインデーですよ。
あのめんどくさいイベントがやってきましたとさ。
自分が女子から人気ないことくらいわかってるし
強制的に女子と接点をもたざるをえないような状況にいるわけでもありませんよ。
はじめっからもらえないのわかってるのに、またあのめんどうなドキドキがやってきちゃう。
でね、結果的にまたな~んにももらえなかったりするんだけど
ただ不思議なことに、まあまあ落ち込んでる自分がいる。
もうどーでもいーや、なんかヌルヌルドロドロした気持ちいい底なし沼の中で
うつらうつらしてればいーもんねって開き直れないとゆうか。
あれ、オレって?ひょっとしてこのままじゃいけないって思ってる?
何か変えていかなきゃって思ってる?
いやいやもうそういうしんどいのは勘弁してくださいなと
何かから逃げるように速足で家に向かう途中、
近所のお弁当屋さんでからあげ弁当を買ったら
なぜかお店のおばちゃんがセコイヤチョコレートを1つくれた。
そいつを手にすると、熱い店の中に置いていたせいか、なぜか温かい。
おばちゃんめ、ちゃんと管理しておけよ、って毒づきながら
妙にベタつく包み紙を破って、一口食べたら、まあ甘い、甘い。
その実に駄菓子的な懐かしい甘さで口の中をいっぱいにしながら
これがまた不思議なことに、なぜだか穏やかな気持ちが戻ってきて
今までの空っぽな感じがなくなっている。
なんか無理矢理押しつけられたベトベトのチョコを食べさせられてるのに
あきらめみたいな、だけどなんか優しい、みたいな矛盾した気持ちになってる。
ああそうか、そういうことなんだなって。
バレンタインデーって、そうなんだ。
お金を払わないと無理とか、いい子でいないとダメとか、営業予算達成しないとアウトとか
そうゆうことは関係なく、暴力的に誰かにチョコをあげてもいい日。
で、もらうほうは無抵抗に受け取るしかない日。
そうゆうめんどくさいイベントも、たまにはあってもいいのかもなとか
妙に悟っちゃってる自分にまた嫌気がさしてくるけど
ま、何かに感謝するとゆうのもたまには必要なんだと思うんだよね。
だけど、やっぱり誰かからもらうのを期待するのって辛いから
来年のバレンタインデーは、自分から周りのみんなにチョコを配ろうかとさえ思ってる。
攻撃は最大の防御っていう感じ。なんか違う気もするけど。
ま、あくまで思ってるだけなんだけどね。